最近よく耳にするデジタルデバイド。情報格差とも呼ばれ、デジタルテクノロジー(パソコンやスマートフォンなど)へのアクセスや使い方に差がある状態を指します。具体的には、人によってはコンピューターやスマートフォンを持っていないことや、持っていても技術を上手に使えないこと、または高速インターネットへのアクセスができないことがあります。この差異がある事により、情報やサービスへのアクセスや仕事の機会などが制限されるだけではなく、日常生活にも影響を及ぼすことがあります。
本日はそういったデジタルデバイド解消の取り組みを行っている、山口県の岩国市、和木町、KDDI株式会社、株式会社ANA あきんどの説明会に参加してきましたので、レポートいたします。
まず初めに、KDDI株式会社経営戦略本部 副本部長の江幡智広氏が登壇し、KDDIのサステナビリティ経営に関するプレゼンテーションを行い、デジタルデバイドの現状について説明しました。
KDDIグループは、サステナビリティ経営として2030年の未来を見据えた「KDDI VISION2030」を掲げ、そのビジョンとして「つなぐチカラを進化させ、誰もが想いを実現できる社会をつくる」をテーマに、サステナビリティ経営を推進していると述べました。
通信事業者としての社会的使命の観点からのサステナビリティ経営としては、「つなぐチカラ」で、命、暮らし、心をつなげ、あらゆるシーンに通信を溶け込ませ、それにより新しい価値を生み出し、社会の課題を解決していくことを目指していると述べ、KDDIとして通信の力で「つなぐチカラ」を支えていく決意を表明し、今後はあらゆるものに通信が浸透する時代に向けて、いつでもどこでも繋がり続ける環境を社会に提供し続ける使命を果たしていきたいと語りました。
続いて、60歳以上のスマートフォンの所有率と利用状況についての説明では、所有率については60代では80%、70代でも60%の方が所有しているものの、 利用状況に関しては、主に家族や友人との電話やメール、LINEなどの利用に限定されていると感じると述べ、今後は、行政や金融機関のオンライン手続きなどもスマートフォンを活用して行えるようになるなど、より便利で豊かな生活を実現するための手助けをしていきたいと語り、KDDIとしてデジタルデバイドの解消に向けて、車両型出張auショップや自宅訪問型スマホ教室など様々な支援を提供し続ける意向を示しました。
引き続き、ANA あきんどの執行役員で地域創生部長の池田暢也氏が登壇し、ANAの地方創生に関する取り組みやデジタルデバイド解消のこれまでの活動、そして今後の展望について説明しました。
ANA あきんどはANAグループの地域創生を担う会社として、主に観光振興や産業振興を中心に地域の活性化策を実施し、地域との交流人口と関係人口を増やすことを目指し、最終的にはヒト、モノ、カネの流れが形成され、これが本業である航空業界の利用拡大に寄与する好循環を生み出すために、2021年に設立されたと述べました。
また、山口県からの委託を受けて、「山口型ワーケーション」と称するプログラムを展開しています。山口県では、観光だけでなく、地域の事業者や資源を活用したワークショップなどのプログラムを提供し、ビジネスの創出や地域の課題解決に貢献するワーケーションプログラムを推進しています。これにより、山口県を訪れた人々が山口県独自の体験プログラムを通じて関係人口や交流人口を増やす取り組みを行っています。ワーケーションプログラムの一例として、高齢者向けスマートフォン操作教室に参加したことで、デジタルデバイドの解消が地域住民にとって非常に重要であることを再認識したことにより、エアライングループならではの、デジタルデバイドの解消に貢献していく決意を表明しました。
続いてデジタルサービス体験型のスマホサービスの開催地域である山口県岩国市 総合政策部 デジタル推進課 デジタル推進班長 船本和利氏が登壇しました。
岩国市は、今年で創建350年を迎え、清流の錦川など美しい自然に恵まれ、市内には5つの酒蔵があり、酒処としても有名な街です。この時期には岩国蓮根など美味しい特産品も楽しめ、新幹線の駅と空港からもアクセスが良いため、ぜひ訪れていただきたいと述べました。続けて、市の課題としては、他の自治体と同様に、人口減少や少子高齢化といった課題があり、一定水準以上の行政サービスを効率的に提供するためにデジタル変革(DX)を推進しています。デジタル機器に不慣れな方々への支援として、高齢者向けにスマートフォン購入補助や訪問型のスマートフォン教室を実施し、より便利で質の高い行政サービスを提供する取り組みを行っています。誰一人取り残さない、人に優しいデジタル社会の実現に向けて前進していく姿勢を示しました。
続いて、同じく開催地域である山口県和木町 企画総務課 主任主事 吉田郁也氏が登壇しました。
和木町は山口県の東側に位置し、今年で街生50周年を迎える地域です。面積は東京都中央区とほぼ同じくらいで、自治体としては非常に小さな街ですが、日本初の石油コンビナートを形成した街でもあり、瀬戸内海沿岸工業地帯の重要な拠点として長い間発展してきたと語りました。和木町は子育て支援に非常に力を入れており、給食費の無料化や子供の医療費の助成などを提供しています。また、新幹線が停車するJRの新岩国駅や岩国錦帯橋空港へのアクセスが良いため、旅行が好きな住民が多く、高齢者の中でも日常的に航空機や新幹線で旅行を楽しむ方が多いと述べました。このような需要に対応するために、オンライン搭乗などのデジタルサービスへの需要が高まっており、今後もデジタルデバイド解消に向けて努力していく意向を示しました。
最後に、KDDI株式会社の江幡智広氏が再び登壇し、11月2日から開催されるデジタルデバイド解消をテーマとした体験型のイベントについて紹介し、説明会を締めくくりました。
説明会後、AR(拡張現実)を使用して平成時代の街を再現したイベントを体験しました。壁一面には平成の渋谷が再現されています。
電話ボックスでポケベルを打つ女性
携帯電話の電波が届くところを探す男性
携帯電話で赤外線通信をする様子
当時の女子高生も登場
懐かしいガラケーの展示
ARを使用した平成の街を再現した体験では、平成時代にタイムスリップしたような、非常に貴重な感覚を味わうことができました。
デジタルデバイス解消についてはまだまだ課題が残る分野ではあると思いますが、このような取り組みが広がることで、近い将来、誰もがデジタルテクノロジーを簡単に利用できるような時代が訪れることを願っています。