京都芸術大学生デザインの検診車が近畿エリアを巡回、地域の健康を支援

京都芸術大学が実施した胸部X線検診車デザインコンペで、学生たちの才能あふれる作品が健診車の外装デザインに採用され、近畿地域の人々に健康の意識を呼びかけます。2024年10月31日には表彰式が行われ、キャラクターデザインコース2年生の奥村さくらさんが最優秀賞、ゲームクリエーションコース1年生の伊砂和奏さんが優秀賞を受賞しました。このプロジェクトは、地域の健康支援に芸術がどう貢献できるかを示す試みであり、学生の自由な発想が地域社会に新たなインスピレーションをもたらすことが期待されています。美しくデザインされた検診車が、地域の人々に健康意識を広めるシンボルとして活躍する姿をぜひご覧ください。

学生デザインコンペ、若手クリエイターが輝いた表彰式

10月31日に京都芸術大学望天館で行われた表彰式には、京都工場保健会の巡回健診事業部副事業部長の井上春喜氏や、京都芸術大学の荒川朱美副学長などが参加し、若い才能に賛辞を送りました。キャラクターデザインコースの奥村さくらさんは「鯉」と「植物」をモチーフにした独創的な作品で最優秀賞を受賞し、検診車のラッピングデザインとして採用されることになりました。さらに、ゲームクリエーションコース1年生の伊砂和奏さんの作品も、高く評価され優秀賞を受賞しました。

最優秀賞の採用デザイン―「鯉」と「植物」で健やかな生活を表現

最優秀賞を受賞した奥村さんのデザインは、鯉の力強さや成長を表現しつつ、健康的な生活のシンボルとして植物が添えられています。鯉は古くから「鯉の滝登り」の伝説で知られ、努力を重ねて目標を達成する力を象徴するとされています。また、鯉が泳いだ跡に植物が茂るデザインは、自然な美しさと健やかな生命力を表現しており、見る人の心を和ませる効果も期待されます。

【最優秀賞】奥村 さくらさん(キャラクターデザインコース2年)

モチーフとしたのは魚の鯉と植物。
鯉は鯉の滝登りの伝説から、力強さ、立身出世。
そして縄張りを持たず穏やかな性格から家庭円満の意味を持ちます。
そして泳いだ形跡にのびのびとした植物が現れている様子を表現。
鯉が泳ぐことでできる自然的な無限に続く現象を健やかに生きていくことを美しいデザインで表しています。

健康長寿を願う「鶴」と「亀」―伊砂さんの願いが込められた優秀賞作品

伊砂さんのデザインでは、日本で古くから長寿の象徴とされる「鶴」と「亀」が取り入れられています。健康を守ることの大切さを伝え、受診者が安心して健診を受けられるよう配慮された優しいデザインです。

【優秀賞】伊砂 和奏さん(ゲームクリエーションコース 1年)

鶴は千年、亀は万年と言われるように、検診を受けることによって健康に長生きしてほしいという思いを込めてデザインしました。

京都芸術大学の「社会実装プロジェクト」―芸術の力で社会課題を解決

京都芸術大学は、学生のクリエイティブな力を活かして社会の課題解決を目指す「社会実装プロジェクト」を年間100件以上行っています。本プロジェクトもその一環で、地域の健康意識向上を目指す取り組みの一つです。学生たちはアートとデザインの力を活かし、地域のニーズに応えるデザインを創出し続けています。京都工場保健会との連携により、芸術教育がどのように地域社会に寄与できるかが具体的な形で示されています。

健診車で地域の健康を支える―京都工場保健会の使命と歴史

今回のプロジェクトの依頼元である京都工場保健会は、1941年に日本で初めて民間のレントゲン車を導入し、現在では44台もの健診車で年間50万人以上に健診サービスを提供しています。胸部や胃部、婦人科など多岐にわたる検診を行い、高品質な健康サービスを地域の人々に届けています。長年にわたり地域の健康を支え続けている京都工場保健会の活動と、芸術大学とのコラボレーションにより、さらに多くの人々が健診の重要性を認識するきっかけとなるでしょう。

芸術がもたらす地域社会への貢献とその未来

若い芸術家たちが手掛けたデザインは、単なる「飾り」ではなく、地域の健康を支援する意識を高めるメッセージでもあります。特に、奥村さんと伊砂さんの作品は、アートが持つポジティブな影響力を証明していると感じます。健診車にラッピングされたアート作品が地域を巡回し、多くの人の目に触れることで、アートが社会と深くつながり、日々の健康を見つめ直すきっかけになるでしょう。芸術が担う役割は広がり続け、今後も多くの分野でその力が発揮されることを期待しています。