最先端テクノロジーや多彩なアイデア、デジタルノウハウを駆使して、世界共通の都市課題を克服する「持続可能な新しい価値」を生み出す「Sustainable High City Tech Tokyo = SusHi Tech Tokyo」を発信する東京都は、その推進拠点となる「SusHi Tech Square(スシテックスクエア)」を東京・千代田区のJR有楽町駅前に開設。オープニングを飾る第1期展覧会として「わたしのからだは心になる?」展を8月30日から11月19日まで開催中です。今回は開幕直前に行われたプレス向け内覧会の様子とともに、本展の概要と魅力を紹介していきます。
JR有楽町駅前に誕生した、入場無料の最新アート体感拠点
東京2020年大会の情報発進拠点だった東京スポーツスクエアの跡地を活用し、JR有楽町駅前に誕生した「SusHi Tech Square」。メディアアートとテクノロジーの体感拠点である「Space」と、スタートアップと多彩な組織・団体の交流の場となる「Tokyo Innovation Base」によって構成される本施設。そのうち、この度先行オープンしたのは「Space」のある1階フロアです。
内覧会に先立って行われた開会式には、本展のクリエイティブディレクターを務める田尾圭一郎さん、キュレーターを務める塚田有那さんのほか、作品を出展されているクリエイターの方々が出席。
冒頭の挨拶に立った田尾さんは、「誰かが作る東京の未来をただ受け入れるのではなく、鑑賞者となる一人一人の方々が東京の未来を考え、未来を作っていくような場所にしたいと思いました」と本展への思いを披露。
その上で「わたしのからだは〇〇になる」コピーとともに鑑賞者に示唆を与えてくれる作品前のバナーや、鑑賞途中の思考の場としても使える「プレイグラウンド」など、本展ならではの特徴を紹介しつつ、「単に美術を鑑賞するだけでなく、ここでできる体験から自分の思いを言語化・可視化し、それらを通じて東京の未来や自分の未来について主体的に考える場にしてほしいです」と述べました。
最新のメディアアートを通じて、テクノロジーと身体感覚のつながりを体感!
テクノロジーが進歩する中で私たちの身体感覚がどのように変化してきたのかを辿り、現代における「身体」のありようについてを考える本展。場内は「機械と身体」「バーチャルな身体」「社会のなかの身体」「環境と身体」という4つのゾーンで構成され、計8つの作品を通じて、テクノロジーと身体感覚の関係を多角度的な視点で考える空間が作られています。
そのうち「機械と身体」ゾーンで見られる《Air on Air〈forest/sea/city〉》は、3つあるスクリーンの前のマイクに息を吹きかけると、それぞれのスクリーンに映る遠隔地にリアルタイムでシャボン玉が飛ぶという体験型のインスタレーション。
コロナ禍でPCやスマホに向き合ってばかりの生活の中で、画面に映る景色の中にも人が存在し、風が吹いているという気付きをきっかけに生まれたという本作。実際に体験してみると、テクノロジーを通じて自分の存在を誰かに伝えるという、普段チャットやSNSでやっている当たり前の喜びを、よりはっきりとした視覚的感覚で感じることができました。
次に、同じ「機械と身体」ゾーンで見られる《Puff me up!》は、体のどこかに装着すると必要な時だけ空気でふくらんで現れてくれるという「やわらかい分身ロボット」。遠隔にいる誰かが自分の体から生えてきたら…という発想の下で作られたロボットは、遠くに暮らす家族や友人と話したいと思った時に現れて寂しさを埋めてくれたり、ペット代わりの存在になるなど、さまざまな可能性を秘めています。
会場では実際に装着体験が可能。腕からモコモコと“生えてきた”ロボットは何ともキュートで、いつもは無機質なテクノロジーに“愛着”のようなものを感じる、新しい技術の形を体感!
続いて、「バーチャルな身体」ゾーンで見られる《仮想支配》は、クリエイター本人がVR世界に登場するパフォーマンス型作品。
ゲームやバーチャルな世界に没頭するうちに身体がテクノロジーに侵食され、自分の身体がインタフェースの一部と化しているような感覚を覚えたという作者。ここでは、その流れに抗い、仮想空間の中で自分のVRの身体を支配しようと挑む作者の姿がスクリーン状に描かれています。
そして「社会のなかの身体」で見られる《美的身体のメタモルフォーゼ》は、過去の東西における「美しい身体」の変遷を研究した作者が、1000年先の「美」を提案した未来予測的な作品です。
胴体や脚を形どった立体作品には、「未来の世界では、表層的な見た目よりも厳しい環境を生き抜く強さの方が美しさの価値基準になるかもしれない」という作家の考えが反映。それぞれに体を引き延ばすギブスやワイヤーが取り付けられ、未来の環境に適応するであろう「大きくて細長いボディフォルム」を作り出すシステムが表現されています。
そのほかの作品も見応え抜群。体感してこそ素晴らしさが分かる作品ばかりなので、ぜひぜひ実際の会場に訪れてほしい展覧会でした!
アートコミュニケーターによる鑑賞ツアーも!
このほか場内には、鑑賞者が自由に使え、多彩なワークショップも行われる「プレイグラウンド」を設置。そのそばには自分の思い描く未来を言葉にして貼れる「ボイスウォール」もあり、未来を考える仕組みが盛りだくさん。作品について詳しく知りたいという方は、アートコミュニケーターによる鑑賞ツアーへの参加をおすすめします。
「わたしのからだは心になる?」展は、8月30日から11月19日まで東京・千代田区の「SusHi Tech Square」で開催中。入場無料かつ、有楽町駅すぐそばとアクセス至便なので、ファミリーや友人同士で気軽に最新メディアアートと触れられる場になることは間違いなし!
■「わたしのからだは心になる?」展
会期:8月30日(水)〜11月19日(日)
休業日:月曜(ただし、9月18日、10月9日は開場)、9月19日、10月10日
開場時間:平日11:00〜21:00(最終入場20:30)、土休日10:00〜19:00(最終入場18:30)
入場料金:無料
会場:SusHi Tech Square 1F(東京都千代田区丸の内3-8-3)