漫才が見られるショットバー!?東京中野BAR「SECOND FLOOR」が不定期お笑いライブイベントを始動

漫才や落語、コントにコメディドラマなど――。“お笑い”は、日常に刺激を与えてくれる娯楽のひとつ。お腹の底から大笑いしてストレスを発散すれば「よし、明日もがんばろう」という気持ちになりますよね。
それでも「お笑い番組は見ても、劇場まで足を運んで生のステージを見たことはない……」という方は多いのではないでしょうか。
そんな中、中野にあるBAR「SECOND FLOOR」では、お酒片手に生のステージを楽しめるお笑いライブ企画を2月より始動しました。
第一回となるライブ当日の2月2日は、大学生芸人コンビ「鯖のTシャツ」を中心に4組のコンビが集まり、ステージを披露しました。彼らのプロ顔負けのパフォーマンスに、お客さんたちは大盛り上がり! 店内は、またたく間に爆笑の渦に包まれました。

現役大学生4組による爆笑ステージ

ライブは、JR中央線「中野駅」の繁華街に位置するショットバー「SECOND FLOOR」で行われました。
構成は二部制で、それぞれのコンビが一本ずつネタを披露します。通常はバー営業をしているため、舞台は店内の一角という限られたスペース。そのため出演者には、動きのあるコントではなく、漫才の披露が求められました。

お酒片手にライブを鑑賞する観客たち

ライブのディレクションにくわえ、MCをつとめたのは学生芸人「鯖のTシャツ」のおふたり。昨年ワタナベエンターテインメント主催の大学生賞レース『笑学祭2024』で初代王者に輝いた、実力派コンビです。
さすが単独ライブや賞レースなど場数をこなしているだけあり、覇者の貫禄を感じさせる威風堂々とした進行ぶり。すべておまかせできたので、マスターもスムーズに普段の営業業務を開始できたようです。

鯖のTシャツ

専修大学落語研究会 お笑い企画STRIP GUN CLUB「鯖のTシャツ」
左:カンドウ 右:おおや(※以下、出演者敬称略)

まず、鯖のTシャツがMCからそのままトップバッターとなり、ライブは開幕しました。
実はこのコンビ、先述の『笑学祭』グランプリの副賞で『ワタナベお笑いNo.1決定戦2024』(当サイト過去記事)にエキシビション枠として出演した経験も。それゆえ、その面白さは保証付きです。
カンドウさんは専修大学、おおやさんは早稲田大学。専修大学のインカレサークルで出会ったふたりは、それにからめたネタを披露しました。
ネタの展開や間の取り方など、アマチュアとは思えない圧巻のパフォーマンスに店内には笑い声が絶えません。お笑いライブを見るのは初めてだというお客さんも、レベルの高さに驚いている様子でした。

エリカ

東京大学落語研究会「エリカ」
左:ぐんじ 右:イマニ

続いて、東京大学の落語研究会に所属している「エリカ」。相手の言い間違いなどの言葉尻をとらえ、さらにそこからボケるというインテリ感あふれる漫才を披露しました。出だしはスロースタート。しかし意味がわかるとジワジワと笑いを加速させていくスタイルでお客さんを沸かせていました。
落語研究会には、たまに「出前寄席」といった特徴的な出演依頼も来るそう。以前オファーを受けた時に、依頼先が用意した台本の漫才でスベりまくった過去があるのだとか。これにはイマニさんも「自分で書いた台本なら、こんな風にウケますよ」とポツリ。さらに笑いを誘っていました。

スメタナ

明治大学お笑いサークル木曜会Z「スメタナ」
左:しみず 右:たま

“異世界”に迷い込んだ設定で、コント仕立ての漫才を披露した「スメタナ」。ビジュアル的に、ここまでの役割分担のわかりやすさはないだろう、と思わせておきながら、実はしみずさんの方がボケ役。予想をくつがえすコンビです。
しみずさんの動きのあるボケと、ほぼ直立不動でぼんやりツッコむたまさんとの対比がユーモラスでした。
たまさんがお客さんに声をかけられてはにかんだ表情を見せると、店内はほのぼのムードに。真冬のさなかに半袖半ズボンの衣装、出番待ちで壁際に座っている時のおさまり具合を出演者たちにからかわれた場面でも好印象を残していました。

ぱきゃまらど

創価大学落語研究会「ぱきゃまらど」
左:きたむら 右:うじいえ ギター:タカハシ

ラストは、出演者で唯一の男女コンビ「ぱきゃまらど」。きたむらさんが歌でボケて、そこにうじいえさんがツッコむという一見オーソドックスな音楽漫才なのですが……。
ネタが進むにつれてツッコミが次第にボケに飲み込まれ、Wボケに変化。また、ギターのタカハシさんも演者のひとり(一本)としてカウントされているのもユニークです。
3月に大学を卒業するおふたり。きたむらさんは、お笑いの世界から歌の世界にシフトチェンジするそう。今後はお笑いの方も継続していってほしいものですね。

お客さんの反応は?

4組のコンビがステージを終えたところで、お酒を片手に鑑賞していたお客さんたちも気分がよくなってきた模様。ライブの感想を聞くと、みな口を揃えて高評価の声を上げます。
「とてもレベルが高くて驚いた!コンビそれぞれ個性があって、最後までずっと笑いっぱなしでした」
今回のライブは初回ということもあり、お客さんはほぼ「SECOND FLOOR」の常連さん。そんな中で、ネットで告知を見て遠方からかけつけたというお笑い好きの方や、鯖のTシャツのファンの方の姿もありました。
「ふだんのライブは舞台と客席が仕切られていますが、出演者の息づかいが聞こえてくるような至近距離で見られたのはレアな経験でした」

“隠れた”BAR「SECOND FLOOR」

「最初は“バー”に“お笑い”ってジャンルが違うんじゃないの?と思っていたけど、お酒とこんなに相性がいいんですね」
そんなソムリエのような感想を述べるお客さんもいるように、ライブ会場となった「SECOND FLOOR」は、普段は一般的なショットバーです。
今回ライブを開催しようと思った理由をたずねると、マスターはこう答えます。
「バーは“敷居が高い”“堅苦しい”と思われがち。そんな方たちにバーの面白さを伝えるなら、誰もが楽しめるエンターテインメント要素を取り入れたらどうなるかな、と思ったんです。これをとっかかりに、気軽に当店を訪れていただけたら嬉しいですね」

自慢は「季節のフレッシュフルーツカクテル」。そのほか、各種カクテル、ウイスキーも充実しています。
「たわいのない会話を楽しむ常連さんたちや、友人同士、カップルでいらっしゃるお客さま、最近は外国人のお客さまもいらっしゃいます。良心的な価格で提供していますので、安心してご来店ください」とマスター。
女性のおひとり客も多く、マスターとの会話を楽しみに来ているそう。バー初心者には好みに合わせたお酒を提案してくれますよ。

JR中央線「中野駅」北口より徒歩5分。繁華街の片隅にたたずむ「SECOND FLOOR」は、その名の通り2階にある“隠れ家的”バーです。
「“的”というより、本当に隠れちゃっているので探しに来てください(笑)」(マスター)
「SECOND FLOOR」お笑いライブは、以降月一ペースで不定期開催予定。告知はSNSをご覧ください。

フレッシュな笑いとお酒に酔いしれる

第一回のお笑いライブは大盛況のうちに幕を閉じました。お客さんからチップをいただき喜びの表情を浮かべる出演者たち。今後の活躍にも期待したいですね。


【SECOND FLOOR】

住所:東京都中野区中野5-50-5 ウインドビル 2F
アクセス:JR中央・総武線、東京メトロ東西線「中野駅」北口より徒歩5分
営業時間:20:00~26:00
定休日:不定休
チャージ料金:500円(ライブ時間帯は通常料金にプラス500円)

X(Twitter):https://x.com/SECONDFLOOR2019

<取材・撮影・文/櫻井れき>