サウジ・日本の共同制作アニメ『アサティール2 未来の昔ばなし』、東京プレミアで世界展開への期待を高める

2024年11月3日からテレビ東京系列で放送が開始される『アサティール2 未来の昔ばなし』。このアニメは、日本のアニメスタジオ東映アニメーションとサウジアラビアのマンガプロダクションズが共同で制作したシリーズの第2弾です。日本とサウジアラビアがともに手がけた壮大なプロジェクトが、再び世界中の視聴者に感動を届ける時がやってきました。六本木のTOHOシネマズにて10月28日に開催された東京プレミア試写会には、制作スタッフやキャスト、パートナー企業、そして中東の大使館関係者が一堂に会し、異文化が交錯する特別なひとときとなりました。本記事では、プレミアの様子や、関係者のコメント、そしてアニメに込められた深いメッセージを紹介し、放送開始を目前に控えた本作の見どころをお届けします。

世界が注目する「アサティール2」プレミアの熱狂

東京プレミア試写会は、六本木のTOHOシネマズで開催され、アニメ制作に携わったスタッフやキャスト、日本や中東のパートナー企業、在日中東大使館の関係者などが出席しました。この東京プレミアに先立ち、10月中旬にはサウジアラビア・リヤドで2回のプレミアが開催され、現地でも大きな反響を呼びました。東京でのプレミアはその最後を飾るものであり、日本国内での地上波放送に向けた一大イベントとして注目を集めました。
プレミア試写会は、マンガプロダクションズCEOのブカーリ・イサム氏による開会の挨拶で始まりました。続いて、アニメのエグゼクティブプロデューサーとして制作に尽力した東映アニメーション株式会社顧問の清水慎治氏が登壇、さらに、マンガプロダクションズのプロデューサーであるアルジジャクリ・ヌール氏も挨拶に立ちました。
その後、4年以上の歳月をかけて完成した『アサティール2 未来の昔ばなし』の第1話が上映され、長い制作過程の結晶が観客の前に披露されました。

東京プレミア映像

サプライズ演出と豪華キャストが織り成す特別な時間

イベントでは、特別なサプライズとして、アスマお婆ちゃんを演じる野沢雅子さんのビデオメッセージが上映され、会場を沸かせました。続いて、主人公マハの声を担当する大空直美さんが、サウジアラビアの伝統的な衣装「アバヤ」を纏って登壇。温かい言葉で挨拶を届け、会場に中東文化の趣を感じさせました。その後、オープニングとエンディングテーマを歌う渡部沙智子さんも、シックな黒のアバヤを纏って登場し、オープニングソングをライブで披露。特別な演出が次々と展開され、観客を魅了しました。

野沢雅子さんのお祝いコメント
この仕事をしていて良かったのは、いろいろな国の生活を知れることです。どこの国でも人との繋がりというのは変わりないと思います。自分から行動しないと繋がることは出来ないです。またどこの国でも善悪の常識は、基本的には同じだと思います。現在世界でアニメを楽しんでいただいていますが、アニメから学ぶことは多いと思います。子どもさんにまずアニメを観ていただいて、生きていく上で大切なことを学び、年齢を重ねて大人向けの物語を観てまた学ぶことが良い事だと思います。
ではまたね、マッサラーマ(アラビア語訳:またね)!

TVアニメ『アサティール2 未来の昔ばなし』野沢雅子様コメント(アスマお婆ちゃん役)

東映アニメーション株式会社 顧問 清水慎治市氏のコメント
2011年4月に初めてサウジアラビアのリヤドに招待され、そこでアラビア地方の民話集のアニメシリーズ作品を作ってほしいと相談されました。日本でも「まんが日本昔ばなし」という民話のヒットシリーズがありますが、中東と日本では生活も風習も文化も違うので、日本人に中東の昔ばなしが作れるのかと悩みました。その時から13年半が経ち、今日この日を迎えて、あの時に自分が断らなくて良かったなとつくづく思います。外国との共同制作作品の制作には大変な苦労があり、なんとかここまで辿り着いた事について、スタッフに心から感謝したいです。 今回の作品は世界中で放送や配信がされると聞いています。昨今、世界中で戦争が増えていますが、世界中の人が本作品のような民話のエッセンスを感じていただけることができれば、戦争も多少は治まるのではないかと期待を込めています。マンガプロダクションズと東映アニメーション共同制作作品の完成を心から喜んでいます。皆様にもお楽しみいただければ幸いです。

マンガプロダクションズ CEO Dr. ブカーリ・イサム氏のコメント
本日はサウジアラビアをはじめ、中東諸国の在日大使の皆様及び当社の大切なパートナー会社の皆様にお集まりいただき、大変光栄です。
前作『アサティール 未来の昔ばなし』の成功を受け、第2シリーズの日本国内での地上波テレビ放送を発表できることをうれしく思います。前作に引き続いて本作も、東映アニメーションの素晴らしい制作チームと、サウジアラビアの才能が協力し、国際色豊かな作品を完成させました。
サウジアラビアやアラブ世界の文化や伝統、そして面白い昔ばなしを日本と世界の方々にご紹介することで、アラブ世界を少しでも知っていただけるきっかけとなれば幸いです。

異文化交流が生む新たな感動

今回のプレミアを通じて感じたことは、アニメが持つ「橋渡しの力」の素晴らしさです。『アサティール2 未来の昔ばなし』は、異なる文化背景を持つ二つの国が一緒に創り上げた作品であり、その過程で文化が互いに影響し合い、より深みを増しています。国際共同制作の困難を乗り越えたスタッフの情熱や、アニメを通じて文化交流を進めようという思いが、登壇者のコメントや演出の随所に現れていました。また、アニメという親しみやすいメディアが、子どもから大人まで幅広い層に中東の文化や価値観を伝える手段として機能していることにも感銘を受けました。『アサティール2』が日本のみならず、世界中で放送されることで、観る人々の心に響き、平和や共感を生むきっかけになることを願ってやみません。


【番組情報】

放送情報:「アサティール2 未来の昔ばなし」
テレ東系列にて11月3日(日)から毎週日曜あさ7時放送開始。全13話。
あらすじ:「アサティール」とはアラビア語で「昔ばなし」という意味の言葉です。『アサティール2 未来の昔ばなし』は、今から少し未来のサウジアラビアに暮らす一家のお話です。
サウジアラビア西海岸のNEOM(ネオム)にある「オクサゴン」という海上都市に、小学6年生の少女マハの家族が引っ越してきました。マハは、弟のライアンとスルタン、そして猫型ロボットのアニスと楽しく暮らしていますが、3人は、悩んだり困ったりすることもしばしば。そんな時、大好きなアスマお婆ちゃんが、素敵なアラビアの昔話をお話ししてくれます。そのお話しからマハたち姉弟は、大切な事を学び、自ら行動していくという物語です。